住宅宿泊事業~「住宅」の要件について

1.住宅宿泊事業法における「住宅」に必要な設備と面積とは
住宅宿泊事業法で「届出」可能な物件(届出住宅)は、「家屋内に台所・浴室・便所・洗面設備が設けられているものを一単位とする」、「居室の一人あたりの床面積が3.3㎡以上」と定められています。
また、人が居住し日常生活を営むために必要な機能を維持している必要があります。よって、台所・浴室・便所・洗面設備が正常に機能することはもちろん、水道や電気などライフライン、ドアやサッシなどの設備が正常に機能することが必要です。

(1)「台所・浴室・便所・洗面設備」の考え方
「台所」については、流水設備を備えた流し台及び調理用の台がある必要があります。
4つの設備は、ホテル客室や特区民泊施設のように1室ごとにあることを要しません。
下記のように例えば、家主居住型民泊で、家屋全体を届出住宅(民泊施設)として届出し、住宅内の「台所・浴室・便所・洗面設備」は、家主と宿泊者が共有するケースも可能です。

また、4つの設備が1棟の建物になくてもかまいません。(例:同一の敷地内にある母屋に台所・浴室・洗面設備があり、庭にある離れに便所があるケース。この場合「母屋と離れ」を1つの届出住宅とすることが可能。ただし宿泊事業者が一体的に使用する権限を持っていること)

また、4つの設備が別々になくてもかまいません。例えば、「ユニットバス」で「浴室・便所・洗面設備」を兼ねることも可能です。また、「浴室」は「浴槽がなくシャワーのみ」、「便所」は洋式・和式のどちらでも構いません。

(2)届出住宅としての考え方
届出住宅については「台所・浴室・便所・洗面設備」があることを満たせば、下記の図では家主居住型で家屋全体を届出住宅としていますが、①住宅全体を民泊のための施設として届出る。②1階部分のみを民泊施設として届出るという事(建物の1部分を民泊施設とする事)も出来ます。
また、下記の家屋では、宿泊室は3室ありますが、①「1グループで使う施設」として届け出ることもできますし、②「各宿泊室を別々のグループで使用する施設」として届け出ることもできます
(※宿泊室の床面積合計が50㎡を超え、かつ複数グループを同時に宿泊させる場合には、安全確保のための要件に注意が必要です。)

(3)「居室の一人あたりの床面積3.3㎡以上」の「居室」とは?
住宅宿泊事業法では、床面積を計算するにあたって「居室」「宿泊室」「宿泊者の使用に供する部分」という3つの言葉が使われています。住宅宿泊事業法の届出住宅要件である「居室の一人あたりの床面積3.3㎡以上」を考えるためには、3つの言葉が表す内容を理解しておく必要があります。

居室の面積 宿泊者が占有する面積・・・・・内のり(内寸)で計算する
※台所、浴室、便所、洗面所、廊下が宿泊者の占有でない(家主と共用)場合には、計算に含まない。また押入れ・床の間も計算に含まない。
宿泊室の面積 宿泊者が宿泊するために使用する室の面積・・・・壁芯で計算
※宿泊室内の押入れ・床の間は含まない。
宿泊者の使用に供する部分 宿泊者が使用する部分(家主との共用かを問わない)で、宿泊室の面積を除いた面積・・・・壁芯で計算
※台所、浴室、便所、洗面所、廊下、押入れ・床の間も計算に含む。

※いずれもベランダは計算に含まない

上記の図を参考に考えると、
例①・・・図のとおりに2階に家主が居住し、1階、2階の一部を宿泊者が使用。台所、浴室、便所、洗面所は家主と共用する。
この場合には、「居室」=「宿泊室」となり、「宿泊者の使用に供する部分」とは宿泊室と家主の専有部分を除いた部分になります。

例②・・・上記の図で、1階は家主が占有し(住宅宿泊事業に使用しない)、2階を宿泊客に「宿泊室2室」と「洋室(例:リビング)」として使用させる場合。
この場合には、「居室」は2階全体(押入れ・床の間含まない)となります。「宿泊室」は2つの宿泊室の面積になります。「宿泊者の使用に供する部分」は、2階の宿泊室以外の部分と1階の玄関・ホール・台所、浴室、便所、洗面所になります。

2.住宅宿泊事業法において届出可能な、「居住要件」を満たす3つの「家屋」とは
住宅宿泊事業法施行規則では、住宅宿泊事業として届出可能な家屋として「人の居住の用に供されていると認められる家屋」と定められています。これについては、次の3つのいずれかを満たす家屋になります。なお、届出住宅については、建築基準法上で「住宅」、「長屋」、「共同住宅」又は「寄宿舎」であることとしています。

(1)生活の本拠である家屋(生活が継続して営まれている家屋)
例:住宅宿泊事業者が住民票をおき生活している家屋

(2)入居者の募集が行われている家屋
住宅宿泊事業が行っている間、居住のための入居者募集(分譲又は賃貸)が行われている家屋

⇒上記の証明のため、住宅宿泊事業の届出時には、「当該募集の広告紙面の写し、賃貸不動産情報サイトの掲載情報の写し、募集広告の写し、募集の写真、その他の入居者の募集が行われていることを証明する書類」の添付が必要です。

(3)随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
家屋の所有者等が使用の権限を有し、年1回以上は家屋を使用しているものの、生活の本拠としていない家屋
例:別荘、セカンドハウス、別宅として使用している古民家、転勤・相続で所有しているが現在は家き家で将来居住予定のもの)
注意>居住歴が一切ない民泊専用の新築投資マンションは(3)に該当しない

⇒上記の証明のため、住宅宿泊事業の届出時には、「届出住宅周辺における商店で日用品を購入した際のレシートや届出住宅と自宅の間の公共交通機関の往復の領収書の写し、高速道路の領収書の写し等」の添付が必要です。

なお、住宅宿泊事業法ガイドラインでは、その他留意事項として
・社宅、寮、保養所と称される家屋についても、その使用実態に応じて「住宅」の定義に該当するかを判断する。
・住宅宿泊事業として人を宿泊させている期間以外において、他の事業(人を宿泊させるもの、人を入居させるものを除く)の用に供されているものは、住宅宿泊事業法の対象「住宅」から除外するとしています。

・届出書に住宅の不動産番号を記入する必要がありますので、未登記の建物は届出できません。(静岡県「住宅宿泊事業開業の手引き」参照)
・店舗併用住宅のような建物は、住宅の登記部分のみしか宿泊事業が出来ません。 (静岡県「住宅宿泊事業開業の手引き」参照)

⇒次に「家主居住型」と「家主不在型」の区別、住宅宿泊管理業者への委託が必要な場合についてご説明します。