1.住宅宿泊事業における事業の2類型と管理業者が必要なケースとは?
住宅宿泊事業法にもとづいて民泊(住宅宿泊事業)を行う場合、届出事業者が民泊を実施する届出住宅(台所・浴室・便所・洗面所の設備を有する物件を1つの届出住宅とする。共同住宅、長屋でそれぞれの部屋に上記の4つの設備がある場合には、それぞれ1室が1つの届出住宅。)に居住の本拠を置く(自宅として居住している)か、自宅外の物件において民泊を行うかによって大きく「家主居住型の民泊」と「家主不在型の民泊」に分けることができます。
また、居住する自宅で民泊を行う場合でも、一定の要件に当てはまる場合には、家主不在型民泊扱いとなります。
この2つの違いにより、「住宅宿泊管理業者」を置く必要があるかどうか?宿泊者の安全を確保するための設備(非常用照明や自動火災報知設備等)の必要の有無が変わってきます。
| 民泊の型式 | 家主居住型民泊 | 家主不在型民泊 |
| 要件 | 原則:住宅提供者(住宅宿泊事業者)が、自己の生活の本拠である届出住宅内(いわゆる自宅)に居住しながら、その住宅の一部を旅行者に利用させるもの。
*形式上、住民票を移した場合でも、生活の本拠がない場合には、家主不在型になる。 |
個人の生活の本拠でない住宅を旅行者に利用させるもの。 法人所有物件で民泊を行う場合も、これにあたる。 |
| 特殊例 | 次のケースの場合は、住宅提供者が自宅で民泊を行う場合でも、家主不在型となります。 ・住宅提供者の生活の本拠であっても、住宅提供者(住宅宿泊事業者)が出張や旅行等で不在となる日のみ旅行者を宿泊させる場合 ・住宅提供者の生活の本拠であっても、住宅宿泊事業者が「日常生活の通常行為時間(※)以上、その住宅を不在にする場合」 ※「日常生活の通常行為時間の不在」とは、生活必需品の購入を想定し、原則1時間とする。(商店までの距離や交通手段の状況が不便な場合には、2時間程度まで) |
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| 届出住宅の管理 | ・住宅提供者の生活の本拠であっても、届出住宅の居室が5室を超えるときは、住宅管理業者に管理業務の委託が必要。 | 住宅宿泊管理業者へ、届出住宅の維持・管理業務の委託が必要。
ただし、以下の場合は住宅管理業者への委託を行わなくても可です。 |
| 宿泊者の完全管理のための措置
(非常用照明、自動火災報知設備等) |
届出住宅の宿泊室(※2)の床面積合計が50㎡以下の場合、不要(消防法令上、「一般住宅」扱いとして、必要な防火設備を設置する。) ・届出住宅の宿泊室の床面積合計(※2)が50㎡を超える場合には、非常用照明等が必要(消防法令上、「旅館・ホテル等」と同じ扱いになる。) *宿泊者の安全管理のための措置については、ガイドラインでは、あくまでも住宅宿泊事業者は、「届出住宅内に居住していることが必要」であり、「例えば、届出住宅に隣接して居住する場合は対象とならない。」としていることに注意する。 *上記の点から、長屋、共同住宅の1室に住宅宿泊事業者が居住して、その長屋、共同住宅の他の部屋を届出住宅として事業を営む場合や、若しくは届出住宅が、住宅宿泊事業者の自宅の敷地内にあるとき又は隣接しているときは、宿泊者の完全管理のための措置(非常用照明、自動火災報知設備等)が必要と考えられます。 ※2 宿泊者が宿泊するために使用する室の面積・・・・壁芯で計算(宿泊室内の押入れ・床の間は含まない。) |
宿泊者の完全管理のための措置(非常用照明、自動火災報知設備等)が必要。 |
*宿泊者の安全管理のための措置については、次ページにて、詳細に解説いたします。
2.住宅宿泊事業にて行わねばならない「住宅管理業務」とは
旅行者を宿泊させる限りは、宿泊者が安心・快適に過ごせる環境を整えること、旅行者の管理などを適切に必要があります。
そのために必要な届出住宅(民泊施設)の維持保全・管理活動として、住宅宿泊事業者又は住宅宿泊管理業者は、以下のようなことを行う必要があります。
*ガイドライン抜粋
(1)届出住宅内の台所、浴室、便所、洗面設備が正常に機能するように維持保全する。
(2)日常生活に必要となる電気・水道等ライフライン、ドアやサッシ等の住宅設備が正常に機能するよう維持保全する。
(3)空室時における施錠の確保、住宅(居室含む)の鍵の管理
(4)宿泊者の退室後の設備破損の有無の確認、遺失物の有無の確認等
(5)宿泊者の衛生確保
①設備や備品等の清潔維持、かつ除湿を心がけ、定期的な清掃、換気等を行う。
②寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものの、宿泊者が入れ替わるごとの交換。
③宿泊者が重篤な症状を引き起こすおそれのある伝染性の感染症に罹患し又はその疑いがあるときの保健所通報と、居室、寝具、及び器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置。
④その他公衆衛生上の問題の発生又はその恐れのあるときの保健所通報
⑤最低限の衛生管理に関する知識の習得に努めること。
⑥循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24 時間風呂など)や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症予防のため、宿泊者が入れ替わるごとの水交換。また定期的に洗浄等を行うなど取扱説明書に従って維持管理すること。
(6)宿泊者の快適性及び利便性の確保
下記について外国語を用いた書面を居室に備え付ける、タブレット端末への表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間必要に応じて閲覧できるようにする。
①住宅の設備の使用方法に関する案内
②移動のための交通手段に関する情報(最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報)
③火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内(消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報)
(7)宿泊者名簿の備え付け
①宿泊者の本人確認
宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う。
方法は、対面又は対面と同等の手段として以下のいずれも満たす ICT(情報通信技術)
を活用した方法等により行われる必要がある。(届出住宅等に備え付けたテレビ電話や
タブレット端末等による方法等による)
A 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
B 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は
届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。
② 宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載する。
(8)周辺地域の生活環境への悪影響の防止
下記の必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末での表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて説明事項を確認できるようにする。
①騒音の防止のために配慮すべき事項
大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないこと、届出住宅内は楽器を使用しないこと等、住宅宿泊事業者は、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明する。
② ごみの処理に関し配慮すべき事項
・住宅宿泊事業で発生したごみは、事業系廃棄物として、一般ごみと分けて住宅宿泊事業者が責任をもって処理する。
・宿泊者に対し、当該市町村における廃棄物の分別方法等に沿って、住宅宿泊事業者の指定
した方法により捨てるべきであること等を説明する。
③火災の防止のために配慮すべき事項
ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法、避難経路、通報措置等、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明する。
(9)周辺地域の住民からの苦情等への対応
・深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する。
・ 宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せについては対応する。
・ 滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、当該宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を講じる。
⇒次に、安全確保のために必要な措置、消防設備等についてご説明いたします。