住宅宿泊事業法に基づいて、民泊(住宅宿泊事業)を始めるには、大きく分けて、「人・法人の要件」「場所の要件」「物(住宅の要件)」「安全(消防設備等)の要件」を考えていく必要があります。ここでは、まずそれぞれについて、簡単にポイントを解説していきたいと思います。
1.「人の要件」・・・欠格要件
・住宅宿泊事業法では、民泊(住宅宿泊事業)事業を行う事が出来ない者(「欠格要件」という。)が規定されています。まず、この欠格要件に当てはまらないことが必要です。
2.「場所の要件」・・・民泊が可能な地域・期間、周辺説明等
(1)民泊が可能な地域・期間
住宅宿泊事業法では、これまで旅館・ホテル営業を行うことが出来なかった用途地域(住居専用地域や工業地域)においても、年間180泊まで宿泊事業を行う事が出来るようになります※。
(※工業専用地域は住宅を建てることが出来ないため不可)
しかし、住宅宿泊事業法では可能とされていても、各自治体の条例によって、例えば「住居専用地域では、月曜から金曜までの営業を禁止する。」などの規制がされているケースがあります。
このため、住宅宿泊事業法に基づき民泊事業を行おうとする場合には、営業予定場所の「用途地域」が何か?、条例において、その地域の営業が規制されていないかを事前に調べることが必要です。
(2)周辺住民への説明
住宅宿泊事業で民泊事業を行う際は、住宅宿泊事業法施行要領(「ガイドライン」という。)では、その物件(宿泊施設)の周辺住民に対し、「事前説明を行うことが望ましい。」とし、周辺への事前説明を申請の必須条件としていません。
しかし、周辺住民の不安解消と平穏な地域環境の保護等の点から、各地の条例では、「事前の周辺住民への説明」を必須条件とするものが多くなっています。この点についても営業する地域における条例の確認が必要です。
また、この周辺住民への説明については、届出にあたって周辺住民の同意までを要件としていません。あくまでも事業を実施することの説明を行うことで足ります。しかし、現実的には、事業実施にあたり、周辺住民からの強硬な反対により、事業が実施できないケースや地域との良好な関係が築けない事で円滑な事業運営に支障をきたすケースがあります。
この点から、営業する物件周辺の民泊に対する意向(反対意見が出そうか?地域に影響力を持つ住民の存在、近隣の雰囲気等)、事前に判明する範囲で調査を行っておく方がよいでしょう。
3.「物(住宅)の要件」・・・営業する物件の構造、居住型民泊か不在型民泊か
(1)営業する物件(建物)の構造
住宅宿泊事業を行うことのできる物件には、大きく分けて3つのポイントがあります。
①必要とされる設備(台所、浴室、便所、洗面設備)があるか
②建物は「戸建、長屋、共同住宅、寄宿舎」のいずれに該当するか
③住宅宿泊事業法で民泊が行える家屋(「生活の本拠として使用されている家屋」「入居者募集中の家屋」「随時、居住に使われている家屋」)とは。特に「随時」の意味に注意が必要。
(2)居住型民泊か不在型民泊か
民泊事業を行うにあたって、事業主が居住する建物にて住宅宿泊事業を行うか、それとも、事業主が居住していない建物にて住宅宿泊事業を行うか、により、「住宅宿泊事業管理者」を置く(委託する)必要があるか否か、また必要となる消防設備が異なりますので、注意が必要です。
4.「安全(消防設備等」の要件」・・・非常用照明や火災報知設備の必要性の有無
住宅宿泊事業を実施するにあたっては、事業届出の際に消防署から「消防法令適合通知書」の交付を受け、事業届出書に添付する必要があります。
宿泊者の安全措置については、家主(事業者)居住型で一定要件(宿泊室の床面積合計50㎡以下)の物件については、非常用照明器具や自動火災報知設備等の設置を要しないことや、物件に複数の宿泊室があり、複数のグループを宿泊させる場合の必要措置など、物件の態様により必要となる消防設備や防火のための設備が異なります。この点については、事業計画段階で消防署に物件の図面を持参のうえ、必要となる消防設備等の確認を行うことが必要です。
※(3)(4)を検討する流れ(届出までの流れ)は下記のとおりです
参照:大阪府堺市「住宅宿泊事業の手引き」

それでは、次のページから順に内容を具体的に見ていきたいと思います⇒欠格要件