旅館業法の改正と民泊:法律の何が変わったか

旅館業法の改正が国会にて成立しました。
施行は、住宅宿泊事業法(民泊新法)と同じ平成30年6月を予定しているようです。

ここでは、旅館業法の改正で、追加された民泊に係る部分を抜粋して、簡潔に解説してみたいと思います。(条文については、閣議決定された法律案をもとにしています)

1.<無許可で旅館業を営む者への対応>
これまでは、知事のよる立入検査の対象は、旅館業法の許可を得ている営業者のみとしていましたが、新たに「旅館業の許可を得ずに無許可民泊を営む者に対し、営業の停止や、公衆衛生上又は善良な風俗の保持上必要な措置をとるよう命じる」ことができるようになります。(第7条の2第3項)
また、上記の「命令をするべきか調査するために、無許可民泊施設への立入り検査や、書類の提出、無許可で営業を行うもの等関係者への聴取」ができるようになります。(第7条第2項)

2.<措置命令の内容追加>
従前の旅館業法では、措置命令(措置を取ることことを命じる)が定められていたのは、「施設の構造設備を法令で定める基準に適合させること」についてのみでしたが、改正により、「公衆衛生又は善良の風俗の保持のために必要な措置」が追加されました。(第7条の2第2項、第3項)

3.<旅館業法違反、処分違反等への対応>
※旅館業の許可を得ている営業者に対しての規定
旅館業法違反、法律に基づく処分に対する違反に、「法律に基づく命令の規定に対する違反」を追加し、従前の許可の取り消しと営業の停止処分のうち、営業の停止処分は「1年以内」と期間を明確にしました。(第8条)

4.<罰則の強化>
旅館業法違反の罰則をこれまでの「6か月以下の懲役又は3万円以下の罰金」から、「6か月以上の懲役もしくは100万円以下の罰金」とし、なおかつ、罰則を併科(あわせて科すことが)できるようになりました。(第10条)

5.<罰則の強化2>
・宿泊拒否規定違反
・宿泊者名簿の備付違反
・知事からの求めに対しての虚偽報告又は報告を行わないこと
・立入検査の拒否、妨害、忌避、「質問事項に対する虚偽答弁や答弁をしないこと」←「 」は追加条文
に対する罰則を、「5千円以下の罰金」から「50万円以下の罰金」に強化されました。
(第11条)

法律条文をかみ砕き、簡潔にしましたので、順番や言葉の違いについては、ご容赦ください。又は正式な内容については条文を参照ください。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の事業者届出は電子申請原則、マイナンバーカードでの本人確認へ

11月24日、産経新聞報道より。(記事内容 一部追加)

 「住宅宿泊事業法での「民泊」の解禁に向け、観光庁は11月23日、民泊事業者(家主)が都道府県などに届け出を行う際の本人確認について、マイナンバーカードによる電子認証(パソコンでの申請)を原則とする方針を固めた」。

「観光庁が平成30年3月に公開を予定するガイドラインの中では、事業者届け出に必要な書類に関しては「電子申請(パソコンでのオンライン申請)を基本とする」と明記する方向とし、ガイドラインの詳しい内容は、年内にも詰めるとしています。
また、届出に必要な添付書類については、スキャンによる画像データの添付を認める。
ただマイナンバーカードの普及が進まない現状も踏まえ、当面は届け出画面を印刷して押印し、登記事項証明書や住民票の写しの原本とともに郵送するといった移行措置についても検討する。

観光庁は制度運用に向けて民泊関連情報のデータベースを構築し、事業者情報に仲介業者から定期的に報告される宿泊実績などのデータをひも付け、関連省庁などが営業実態を把握しやすくする予定だ。

この点から、事業者届出は電子申請で完了させる方向性で検討しているものとも思われます。
しかし、国交省がかつて宅建業の免許申請の電子申請化をはかったものの、数年で中止した事例もあり、電子申請がスムーズに行われるのかは注目が必要です。
また、導入の進まないマイナンバーカードの導入促進をはかりたい思惑も透けて見えるところです。
事業者(家主)の中には、電子申請に対応が苦手な方も存在すると思われますので、その際の申請を、誰が代行可能なのかも注意してみていきたいところです。

〇なお、民泊事業者として届け出の際に添付が必要な書類は以下のとおりです。
民泊実施にあたり、提出する届出書類に添付する書類

登記されていない証明(被後見人、被保佐人でない証明) 法務局発行
身分証明書                             本籍地役場発行
住宅登記簿謄本(登記事項証明書)
家屋が、入居者募集が行われていることを証する書面 ※ 例)入居募集広告
 家屋が、随時、所有者または賃借人(転借人)の居住に供されていることを証する書面※
住宅図面
転貸承諾書面 *(賃貸人及び転貸人)
住宅宿泊事業禁止の規定のないマンション管理規約写し 又は管理組合が住宅宿泊事業を禁止しない証明書面 *
住宅宿泊事業管理者に管理を委託する場合には、受託契約締結時の交付書面
欠格事項に該当しない誓約書
住民票抄本 <届出者が個人の場合のみ>
定款又は寄付行為
法人登記事項証明書

事業者が法人の場合には⑫⑬も必要。   ※及び*は、該当する場合に必要な書類

 

2.住宅宿泊事業法では、宿泊日数の制限があり(180日)、この日数管理のため事業者から2ヶ月に1回の報告を義務付けます。これに併せて、仲介事業者からも宿泊日数報告をさせることで事業者ごとの宿泊日数が照合され捕捉されうるのか、注意していきたいところです。