特区民泊の始め方2~事前準備

特区民泊を始めるにあたって、民泊施設の「場所」「物件」の目星がついたら、次に行うのは、大きく分けると、施設に必要となる「消防設備」についての事前相談と、清掃・ゲスト(宿泊者)対応を誰が行うかを考えることになります。

1.消防設備の事前相談

特区民泊施設として営業する場合には、その施設(客室)は、消防法では、一般住宅からホテル・旅館等と同じ扱いになります。
このため、一般住宅であった建物やマンション等の全部又は一部を特区民泊施設として利用する場合には、消防法に定められた消防設備を新たに設置する必要があります。また、建物全体の消防法令上の規制が変わる可能性があります。
通常の場合、特区民泊施設として必要となる消防設備は、「自動火災報知設備」「誘導灯」「非常用照明」ですが、建物の規模によりその他の設備が必要となります。

まず、どのような消防設備が必要となるのかを相談のため、事前に特区民泊施設の所在地域を管轄する消防署を訪問します。(事前予約必要)
その際には、建物の図面(平面図、立面図、室内の火気使用設備の配置図)及び建物登記簿謄本を持参するようにします。また、消防設備の工事が必要となりますので、消防設備工事会社の担当者と同行するのがよいでしょう。

消防設備工事については、施設の構造、広さ、階数、配線状況などにより必要となる金額が大きく異なります。一例では木造1戸建て(2階建て)の建物で平均的に40万円以上を見込んでおいたほうがよいでしょう。

設置する消防設備以外に
・カーテン、カーペット等は防炎のもの
・消防用設備等の点検報告が年1回必要になる
・避難経路図の作成
など、必要となることがあります。また、民泊施設を行うことにより建物全体での収容人数が30人を超える場合には防火管理者の選任や避難訓練の実施なども必要となるなど、収容人数や建物の構造により設備以外の面でも一般住宅のときとは変更になる部分があります。消防署での事前相談の際に詳しく確認しておくようにしましょう。

2.ゲスト(宿泊者)対応、清掃などの実施者を考える。

特区民泊施設運営では、宿泊者が外国人であるため24時間外国語での対応を行えるようにする必要があります。(対応言語は日本語と最低1言語の外国語)
また、インターネットを通じての集客となりますので、インターネットでの予約対応(メール、ホームページ)、宿泊施設として衛生的な環境を整備するための清掃なども行う必要があります。
これらを特区民泊を運営する方が直接行うのか、代行業者に任せる場合には、どこまで任せるのかを決めていかなければなりません。

特区民泊の始め方1~場所、物件

さあ、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(「特区民泊」という。)を始めるぞ!と思った時に、何から始め、どこに注意が必要なのか?をポイントを絞って解説していきたいと思います。

1.場所
(1)営業可能な地域
特区民泊については、大阪のどこでもできるわけではありません。
・大阪府における特区民泊実施地域http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/27772/00000000/map1.pdf
東大阪市、堺市、枚方市、高槻市、豊中市の保健所設置市及び松原市、吹田市、交野市では、特区民泊を行うことができません。平成29年11月1日現在
・大阪市における特区民泊実施地域
http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000341/341012/oosakashi.pdf

特区民泊は、基本的に「住居専用地域」や「工業専用地域」では営業ができません。(一部例外あり)
まずは、特区民泊事業をしようとする場所が、営業可能な地域なのかどうか、市のホームページなどで、「用途地域」を調べるところから始めましょう。

*その際には、施設に必要な消防施設との関連から、あわせて「防火地域」「準防火地域」にあたる地域なのか、どうかも調べておくようにするとよいでしょう。

(2)駅からの距離
民泊施設の場合、駅からの距離、ターミナル駅への利便性なども重要要素です。
特に東南アジアでは、タクシーが発達していることもあり、長時間歩く文化がありません。この点も考慮しながら、物件を検討する必要があります。
おおよそ徒歩10分を超える物件の場合には、送迎や歩かせる工夫(物件までの周辺を楽しませながら歩かせられるか)等、何らかの手当ての検討も必要になるといわれます。

2.物件
(1)まず、特区民泊施設として認定を受けることができるのは、宿泊者を宿泊させる居室の床面積が25㎡以上(壁心で測定)となります。
床面積の計算には、風呂、トイレ、台所、クローゼットを含みます。ベランダは含まない。

また、登記簿において建物の用途が「事務所」になっていないかを確認してください。

(2)民泊物件については、自己所有か賃貸物件かで特区施設認定のための準備書類が異なります。
①賃貸物件や転貸物件の場合には、貸主が事業に使用することを了承しているか、またすべての賃貸借契約において事業に使用することが禁じられていない必要があります。
また、自己所有でも分譲マンションの一室を民泊施設にする場合には、管理規約で民泊使用が禁止されていないこと、管理規約に民泊についての規定がない場合は、管理組合の承諾書が必要となります。

③一戸建ての場合、木造3階建ての物件は、2泊3日での特区民泊を行う場合には、3階部分が使用できません。また、消防設備の設置費用が大きくなる可能性がありますので、注意が必要です。

(3)特区民泊の居室には、基本設備として「風呂(シャワー室可)」「台所」「洗面所」「トイレ」が必要です。これらがない居室の場合には、設備設置の必要があります。

大阪で合法民泊を始めるには

大阪で合法的に民泊を始めるには、大きく「3つ」の方法があります。
1.旅館業法に基づき旅館としての許可を得る。
旅館業法の中でも一般的に「民泊」と呼ばれるくくりで使われるのは、「簡易宿所営業許可」です。
2.国家戦略特区に基づく特区民泊施設として認定を得る。
3.住宅宿泊事業法に基づき民泊施設として届出する。(平成30年6月15日施行より可)
※ただし法施行前の3月15日より届出開始の予定

この3つの民泊としての手続き内容、主な必要設備等を比較すると、次の通りです。
大阪市を基準に作成しております。

簡易宿所営業

 

大阪市特区民泊 住宅宿泊事業法での宿泊事業
準拠法律 旅館業法 国家戦略特区法13条 住宅宿泊事業法
行政手続き 許可 認定 届出
営業日数 365日営業可 365日営業可 年間180泊以下(条例による制限あり)
※4月1日正午~翌年4月1日正午
宿泊日数 1泊2日から可 2泊3日から可 1泊2日から可
居室床面積 客室の合計延床面積33㎡以上(宿泊者10人未満の施設は3.3㎡×宿泊者数)

1客室の構造部分合計床面積は4.9㎡以上(条例)*内のり算定
<寝室、休憩等に供する床面積の合計。シャワー室・浴室含むが、クローゼット・押入れ除外>
1人当たりの床面積 1.6㎡以上(条例)

延床面積25㎡以上
*壁芯算定
<風呂、便所、台所、クローゼットを含む。ベランダを含まない。>
なお、1人当たりの床面積は、風呂、便所、台所、クローゼットを除き3.3㎡以上が望ましい。
1人当たり床面積3.3㎡以上
居室に必要な設備 ※客室を多人数で共用する宿泊施設のため、居室ではなく宿泊定員に応じた共同設備となる。
・共同食堂
・共同便所
・共同浴場
・共同洗面設備
・台所
・便所
・浴室
・洗面設備
・テーブル、椅子
・収納家具
・調理器具
・掃除機、雑巾、ごみ箱
・冷暖房器具
届出住宅に下記が必要
・台所
・便所
・浴室
・洗面設備
 

(例)家主居住型では、住居に上記4設備を備え、宿泊者と共同使用で可(宿泊者の居室になくてもよい)

営業を制限される地域 住居専用地域、工業地域、工業専用地域での営業不可 住居専用地域、工業地域、工業専用地域での営業不可 工業専用地域
(その他条例による制限あり)
消防設備等 自動火災報知機
誘導灯
非常用照明
避難経路の表示
その他
自動火災報知機
誘導灯
非常用照明
避難経路の表示
その他
非常用照明
非難経路の表示※50㎡以下の家主居住型民泊は住宅扱い。
それ以外は、旅館として消防法令等適用となるため、左記に準ずる。