特区民泊をはじめとする民泊の申請にあたり、事前に周辺住民の方に対して住民説明会を実施します。
その中で、よく聞く反対理由が「民泊施設が出来れば外国人犯罪が増える。周辺で強盗や殺人、空き巣、暴行等の事件が起こったらどうするのか?女性や子供が襲われるかもしれない。民泊で殺人事件があったニュースや、いろいろな問題があるのを聞いている。」というものです。
この反対理由は、いくつかの観点(例えば①犯罪の増加の問題、②いろいろな問題の実態、③ステレオタイプの報道による印象操作 等)から見ていく必要があるのですが、ここでは、外国人旅行者が増加し、民泊施設も増える中で、訪日外国人による犯罪は増加しているのかという点を見ておきたいと思います。
外国人が宿泊する民泊が営業されたら、周辺で犯罪(ひったくり、暴行、殺人、子どもの身の危険)が多発するのではないか?
犯罪(特に暴行や痴漢等刑法犯罪)が多発するということについては、社会的事実として、警察庁が発表している犯罪統計の中の来日外国人犯罪データによれば、来日外国人犯罪総数は平成17年の47,865件をピークとして平成28年14,133件、殺人、強盗、放火、誘拐、強姦、強制猥褻等の重大事件の検挙件数は平成17年1,218件⇒平成28年494件と毎年減少しています。外国人入国者数は平成17年673万人が平成28年2404万人となっており、ここでは便宜上、件数=人で計算(実際にはグループ犯罪もあるので人数は件数より多い)すると、来日外国人犯罪率は0.7%から0.06%と急激に減少しています。つまり犯罪を起こす来日外国人は1000人に7人から10,000人に6人になったという事です。
※最新のデータに基づくと、平成29年の来日外国人犯罪総数は17,006件、殺人、強盗、放火、誘拐、強姦、強制猥褻等の重大事件の検挙件数は518件とわずかに増加に転じています。ただし来日外国人数は2869万人ですので、来日外国人犯罪率は0.059%と横ばいです。ちなみに、平成30年速報値(11月末集計データ)においては、外国人犯罪は平成29年より減少の傾向が出ています。)
ちなみに日本人による犯罪件数は平成28年915,042件であり人口比で計算すると0.7%となります。つまり来日外国人の犯罪は、そもそも日本人と同じ確率であったものが、平成28年には、日本人の10分の1になっているという事実が見えてきます。
では、なぜ外国人犯罪が減ったのか?
外国人犯罪が減少に転じた大きなポイントの一つは、平成17年から「来日外国人の宿泊については、フロントなどにおいてパスポート確認が必要になった事」が考えられます。(日本人はホテル宿泊時に免許証等の確認はないですから、外国人のみ厳格に確認しているという事です。) つまり、外国人については宿泊の際に身元確認が厳格になされることにより、犯罪が抑止されるようになったということが読み取れます。
では、なぜ民泊の営業がされると外国人犯罪が増えると誤解されているのか?
これについては、平成30年6月以前と以後で見ていく必要があります。大阪市において、民泊として代表的な特区民泊が可能になったのは、平成28年10月31日からです。それ以前の民泊はすべて法的根拠のない違法民泊でした。また、平成30年6月までは違法民泊に対し立入調査したり、営業停止にする法律が整備されていない状態でした。(平成30年6月、旅館業法の改正)
このため、平成30年初頭の時点において、大阪市の民泊室数は約10,000室超あったものと推測されますが、その内正式に認可を受けている民泊(特区民泊)は約2割弱(30年4月20日時点1683室)でした。
特区民泊として認定を受けている民泊施設については、「廃棄物の処理方法」「パスポートによる本人確認」「施設での禁止事項(騒音、危険物の持ち込み禁止等)」「禁煙、火事への注意」が規定され、それらを宿泊者に書面等で周知させる必要があります。
これに対し、違法民泊は何ら規制も取り決めもない無秩序な営業を行う事業者が多数あったため、宿泊者に禁止事項等周知されることもなく、騒音や廃棄物投棄など、周辺住民への悪影響やトラブルが発生していました。これら違法民泊でのトラブルが大きくマスコミにも取り上げられ、民泊=危険というイメージ付けがなされることになりました。